航空会社の顧客囲い込みの仕組みとしてFFP(Frequent Flyers Program)があるようにホテルにおいても同様のロイヤリティプログラムがあります。
FFPになぞってFSP(Frequent Stayers Program)とも言われています。有名なのは、Hilton Hotels & Resorts のHilton Honersやスターウッドを買収して圧倒的な立場となったマリオットのBonvoy、ハイアットのWorld of Hyatt、他にもIHG、フランス系のアコー、日本だとリーガロイヤル、阪急阪神第一ホテルグループなど探せばきりがないほどのFSPプログラムがあります。
私たちはFFP(マイレージプログラム)と同じように、こだわりすぎない範囲でこれらFSPプログラムも活用しております。そんな経験から、特にグローバル展開しているホテルチェーン、ロイヤリティープログラムをまとめてみます。
ホテルチェーンのロイヤリティプログラム
グローバルオペレーター系
以下は主に特定のホテルチェーンにより運営されているホテルチェーン、プログラムです。最近は資本関係に拘らずに受け入れるケースも見受けられますね。
ガバナンスが十分に効いているためどこでも一定の品質が期待できる一方、どこに行っても同じ感じのサービスで味気無さを感じるといった受け止め方もあります。マリオットはSPGを買収し、ホテル数、部屋数と言った規模からダントツ、ブランドも圧倒的です。
ここにあげたホテルチェーン・ロイヤリティプログラムは、(シャングリラブランドで有名なケリー以外は)、ある程度どこに行っても加盟ホテルがあるか感じかと思います。
やはりアメリカ勢が強いですので、この中ではIHG、アコー、シャングリラを応援したくなります。
プログラム | Mariott Bonvoy | Hilton Honors | IHG Rewards Club | Accor Live Limitless | Radisson Rewards | WORLD OF HYATT | Golden Circle |
---|---|---|---|---|---|---|---|
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オペレーター | マリオット・インターナショナル | ヒルトン・ホテルズ・コーポレーション | インターコンチネンタルホテルズグループ | アコーホテルズ | ラディソンホテルグループ | ハイアットホテルアンドリゾーツ | ケリー・グループ |
本社所在地 | アメリカ | アメリカ | イギリス | フランス | アメリカ ベルギー |
アメリカ | 香港 |
展開国数 | 130 | 120 | 100 | 100 | 115 | 60 | 22 |
ホテル数 | 7,000 | 6,100 | 5,600 | 4,800 | 1,200 | 900 | 100 |
部屋数 | 1,300,000 | 650,000 | 840,000 | 700,000 | |||
主要ブランド(ハイグレード) | Ritz Carlton ST. Regis JW Marriott W Hotels Luxury Collection EDITION |
Waldorf Astoria LXR Conrad |
Six Senses Regent Inter Continental |
Raffles Fairmont Banyan Tree |
- | Andaz Grand Hyatt Park Hyatt |
Shangri-La Hotels & Resorts Kerry Hotels |
主要ブランド(ミドルグレード) | Marriott Sheraton Le Meridien Autograph Collection Renaissance Westin |
Hilton Curio Collection Embassy Suites |
Crown Plaza Indigo |
Sofitel Rixos Pullman Swissôtel Mövenpick |
Radisson Radisson Blu |
Hyatt Regency Alila |
Traders Hotel |
主要ブランド(カジュアル) | Courtyard by Marriott aloft Protea |
DoubleTree by Hilton Hilton Garden Inn |
Holiday Inn | Mercure Novotel Ibis |
Park Plaza ParkInn | - | Jen |
他にはWyndham、Best Westernなど規模(ホテル数)は大きいですがやはりアメリカ系ですし、ホテルも画一的で面白みがないので省略します。
アライアンス系
以下は中小規模の独立したホテル/ホテルチェーンが複数集まって構成されるプログラムです。プログラムの運営団体は、参加するホテルとの資本関係がないもしくは薄いのが特徴です。やはりホテル数はグローバルオペレーター系に比べて少なく、場所によっては加盟ホテルがないといったシチュエーションにも結構出くわします。
GHAは別記事でも紹介していますが、本社はUAEに置いていますが、ドイツ系のケンピンスキーが実質的に主導、加盟チェーンもタイ系や香港系など、バリエーション豊富で楽しめます。
残りの2つは、独立系ホテル中心の加盟ですので、さらにバリエーション豊富です。
プログラム | GHA Discovery | iPrefer | Leaders Club |
---|---|---|---|
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運営母体 | Global Hotel Alliance | Preferred Hotel Group | ザ・リーディングホテルズ・オブ・ザ・ワールド |
本社所在地 | UAE | アメリカ | アメリカ |
展開国数 | 85 | 85 | 75 |
ホテル数 | 580 | 700 | 375 |
部屋数 | 110,000 | 54,000 | |
主要ブランド(ハイグレード) | anantara Corinthia Kempinski Leela LUNGARNO |
独立系 東京だと:椿山荘、ニューオータニ など |
独立系 東京だと:帝国ホテル、パレスホテル、ザ・オークラ(旧ホテルオークラ) |
主要ブランド(ミドルグレード) | Marco Polo Outrigger Pan Pacific |
独立系 東京だと:プリンスパークタワー、京王プラザ、グランド日航台場 東急ホテルズ |
独立系 |
主要ブランド(カジュアル) | OAKS | - | - |
ホテルチェーン・ロイヤリティプログラム詳細
それぞれのホテルチェーン、プログラムに対する個人的な見解をまとめます。
Hilton Honors
知名度もあり、ホテル数は6,000以上と世界トップクラスのホテルチェーン。
日本では、三井住友カードが発行しているクレジットカードを所有することで上位ステータスを簡単に取得でき、、、ました(残念ながら新規募集終了となってしまいました)。同じくステータス付与のあるspgのクレジットカード(年会費 34,100円)に比べお手軽で、年間1、2泊すれば元とれちゃう感じで活用していたのに残念です。
HHonorsのゴールドティア以上では、どこに泊まっても2人分の朝食を付けてくれるのがありがたいです。Hilton系列で印象に残っているホテルをいくつか紹介します。
Rome Cavalieri, Waldorf Astoria Hotels & Resorts
建物自体はスタイリッシュですが館内には至る所に美術品が展示されており文化都市ローマを感じられます。
ラウンジImperial Clubは、HHonorsのアップグレード対象外となっていますので希望する場合はImperial Clubアクセス権付のプランで予約する必要があります。その分、飲み物、フード類は充実しています。プールも優雅です。ローマの夏は晴れが多く、日差しも強烈ですので利用機会が高いと思います。
立地は中心部からはちょっと離れていますので、タクシーもしくはシャトルバスの利用となりますが、丘の上にあるためCity Viewの部屋からの眺めは素晴らしいです。(多少角度が付きますがサンピエトロ大聖堂のクーポラも望めます。)

きんきらきんのロビー

部屋からの眺め、左下はプールです。

優雅な感じの朝食@Imperial Clubバルコニー
Trianon Palace Versailles, A Waldorf Astoria Hotel
ヴェルサイユ宮殿に隣接する外観も宮殿のようなおしゃれなホテルです。ヴェルサイユ宮殿に訪れるのであればここに一泊してゆっくり散策するのもおすすめです。パリ中心部より30分から1時間程度離れているため、時期によっては中心部に比べ比較的リーズナブルなレートで宿泊できるのもポイントです。

ヴェルサイユ宮殿には負けますがこちらも宮殿っぽいです。

朝食会場も天井が高く、絨毯もふかふかで雰囲気いい

素敵な朝食
ヒルトン系ホテル記事
Marriott Bonvoy
マリオットは、2016年にSPGを買収し、運営ブランドとして30、高級系からリーズナブル系まで幅広いラインナップを揃えています。ホテル数も7,000と大体どこの都市にもある感じです。
この幅広いラインナップと、日本ではspgアメックスのクレジットカードを作成すると上級会員になれ、アップグレードやポイントのボーナスなどが得られるということで海外旅行フリークの中で人気が非常に高いです。年会費は34,100円ということでそこそこ旅行に行く&忠誠心が高くないと元は取れません。私たちはちょっと使いこなせませんでした。
ホテルラインナップは、地域の独立系ホテルを積極的に買収・フランチャイズ勧誘し取り込んでおり結構グッとくるプロパティが多いです。泊ったことのあるホテルの中で今現在マリオット・SPG系のイチオシホテルは以下です。
Augustine, a Luxury Collection Hotel
私たちが滞在した2015年当時はspgブランドではありませんでした。1300年ごろにできた修道院を中心に周囲の9件ほどの建物を繋げて一つのホテルとして作り替えています。そうした経緯もあり、ホテル内外を含め周囲は統一感のある建物で雰囲気があります。立地も王宮側旧市街の中で観光に便利な立地です
私たちはほとんどお酒は飲みませんので直接恩恵を受けていませんが、ビールで有名なプラハということもあり地下に醸造所も持っているようです。メインダイニングでコース料理を楽しみましたが、たまたまそのビールを使った料理が含まれており美味しくいただきました。訪れた時に偶然修道院の部分で普段は非公開になっている施設の見学ツアーがあるからとお誘いを受けましたが、別の用事で参加できず残念でした。そうしたミステリアスな部分も歴史を感じられるホテルでした。

中庭(車寄せ)はたまたまクラシックカーばかりでタイムスリップした雰囲気です。

部屋はコンパクトだが温かみのある感じ。建物は一番古いと1300年ですが、リノベーションされてるのでスタイリッシュです。

メインダイニングのデギュスタシオンコースで出た自家製ビールを使った一品。
マリオット・SPG系ホテル記事
Hotel Bristol, a Luxury Collection Hotel, Warsaw (ブリストル ラグジュアリーコレクション ワルシャワ)
Accor Hotels ALL
私(旦那)の出張先の常宿がこの系列だったため2016年会員になりました。年間30泊からゴールドになるところ、27泊で3泊足りずシルバーという残念な結果となりました。(T_T)
ホテルブランドとしては、Sofitel、Pullman、Mercureと日本には来てないブランドもありますので地味な印象ですが、2015年末にフェアモント・ラッフルズ・ホテルズ・インターナショナルを買収し、Fairmont、Raffles、Swissôtelがラインナップに加わりました。さらにいつのまにかBanyan TreeやMövenpickも傘下ブランドに入り多少マシになってきています。
貯めたポイントは、結局2018年7月に横須賀のメルキュールに2泊して、三浦半島、鎌倉散策に行ってきました。
Mercure Yokosuka(メルキュール横須賀)
立地は汐入という駅を降りてすぐ、また飲食店街のドブ板通りも至近、部屋によって横須賀港に停泊する軍艦が見え結構楽しめます。なぜかツインの部屋が広く、ダブルの部屋が狭いのでダブル派は気を付けた方がいいです、部屋の広さをとるならツインを選択する必要があります。

スタイリッシュな外観

ツインルームのリビングエリア、フルサイズの冷蔵庫と電子レンジがあるのは珍しいですが長期滞在者が多いのかな???

部屋からの眺め、横須賀港に停泊する空母と潜水艦など珍しい景色が楽しめます。
Global Hotel Alliance (GHA) Discovery
これまた日本ではほとんど知名度がないと思われるプログラムです。私(旦那)の出張先の常宿はアコーからこちらに移りました。なんとマニアックな…
このプログラムは非常にユニークで、宿泊数による会員ステータス、ステータスに応じたアップグレードやサービス提供はありますが、他のプログラムで一般的なキャッシュバックに相当するポイント制度がありません。その代わりにオプショナルツアー、食事、スパなど「体験」の提供があります。複数のホテルブランドで構成され、ブランドを超えて顧客の誘導を促進するための仕組みで非常によくできたプログラムと思います。
参加しているホテルグループとしては、Kempinski(ドイツ)、PanPacific(シンガポール)、Leela(インド)、anantara(タイ)とそれなりに知名度がありつつ個性的なラインナップです。
このプログラムの最上位ランクはDouble room upgrade(2ランクアップグレード!)という他であまり見ないベネフィットもあります。
北京ホテルNUO長安通
天安門広場、人民大会堂の近く長安通に面した旧ラッフルズ北京で、中国資本のNUOという会社?ブランド?で営業しています。ラッフルズの前は旧北京ホテル(の一部)ということで、古き中国の威厳を感じる重厚な作りです。内装も東洋の中国らしい部分とリノベーションでモダンに作り変えられている部分がありますがいずれも上質でした。
ソフト面は、チェックイン時に説明もほとんどなく部屋にある案内も情報がプアなため不明点が多いですが、ハウスキーピングなどは1日に数回行われており基本の部分はしっかりしている印象でした。近年交通渋滞が激しく、またタクシーも捕まえにくい北京で地下鉄駅から徒歩1分の立地は外出が億劫にならない立地でその点もメリットといえるでしょう。

重厚な外観、旧北京ホテルは3棟からなり、NUOホテル北京はB棟(真ん中の小さめの、周りが大きすぎる)、A棟(右側、高層の大型ホテル)は依然北京ホテルのまま運営中、中でつながっています。

なかなか素敵なお部屋(Heritage Studio)にアップグレードしていただきました。

レストランでのランチも想像以上のレベルでした。
GHA系ホテル記事
積極的に使っているので対象ホテルが多いです。
Royal Maxim Palace Kempinski Cairo (ロイヤルマキシムパレス ケンピンスキー カイロ)
Preferred Hotels & Resorts iPrefer
ここの会員ティアは、滞在数とか宿泊日数のカウントで決まるのではなく、1年間で利用した金額で決まります。ある意味フェアですが、あまり攻略のしがいのない制度です。ただ、会員になりさえすれば、アップグレードの可能性があるということですが、価格設定は高め、ここを経由して予約したことはないため真偽の程は不明です。ホテルとしては、以下が印象に残っています。
The Imperial New Delhi
混沌としたニューデリーの中で、整備されたエリアで広い敷地に低層の建物で豪華なホテルでした。ホテルの入り口には同じく白い衣装に身を包んだドアマンがおりイギリス植民地時代を感じさせる雰囲気でした。チェックイン時に書かされる書類もたくさんあり、各所に同意のイニシャルサインを求められたのもイギリス由来でしょうか。

白いスタイリッシュな建物。入り口にはクラシックカーが。

中はゴージャスです。

ルピーが暴落していたのでアールデコスイートに。混沌としたデリーで快適に滞在できました。
L’Hotel du Collectionneur Arc de Triomphe
もともとhiltonでしたがいつの間にかiPreferにリブランドしていました。日本大使館の隣ですので何かあっても安心です。名前の通り凱旋門(Arc de Triomphe)までは徒歩10分程度、閑静な住宅地でごちゃついたパリの中で比較的大規模なホテルです。赤や紫が妖艶なホテルでした。

レストランの席密度も非常に高いパリですのでロビーのソファも結構密度が高い

Junior Suiteのリビングエリアも密度が高い、パリを感じられます・・・
Leading Hotels of the World (LHW) Leaders Club
ここは、ホテルのグレードがかなり高め、価格帯も非常に高く会員プログラムも有料制であるということから、これを積極的に使うという方はあまりいないかもしれません。Leaders Clubを通すことで朝食がついたり、ダイニングクレジットが付いたりアップグレードが受けられたりしますが、そもそもの設定価格が高めなのでお得感が分かりにくいところです。
日本で加盟しているホテルをみても
- 帝国ホテル
- ザ・オークラ(元ホテルオークラ東京)
- パレスホテル
- ハレクラニ沖縄(こんあのあったんだ)
- ザ・カハラホテル&リゾート横浜(こんなのできてんだ)
ということで、かなりの重鎮もしくは気合が入ってそうな新進系です。
LHW加盟ホテル記事
まとめ
グローバル展開しているホテルチェーン、ロイヤリティプログラムをまとめてみました。日本で人気があるのは、ヒルトン、マリオット(spg)、IHG、ハイアットなどが中心となると思いますが、実は結構いろいろあります。それぞれ得意不得意がありますので、利用特性に合わせて検討する必要があります。
私たちは忠誠心が低いため、複数プログラムに手を出しつつ、最近はGHAディスカバリーを一番活用しております。
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