大足観光 〜大足石刻 (中編) : 宝頂山石刻〜

大足汽車駅(大足バスターミナル)からは、まずは宝頂山石刻に向かいます。

宝頂山石刻

宝頂山石刻は大足バスターミナルから12kmの距離にあります。ただ、バスターミナルは、観光客というよりは市民の日常の足向けようで、到着後はみなさん散り散りに。大足汽車駅前にタクシーがいるわけでも、近距離バスルートがあるわけではありません(2014年当時)。ここからは続けて交渉ベースでの移動が必要になります。

宝頂山石刻まではタクシーで

まずは、通りに客を運んできて停車しあたタクシーを呼び止めて交渉です。窓越しに、携帯に書いた宝頂山石刻という文字を見せつつ「多少钱(でゅおしゃおちぇん)?(いくらですか)」と聞いてみます。「スーシー(40元:800円)」という応答があり、目安として調べた金額と同じなのでまあいいだろうということで乗り込みます。

交渉は乗り込む前に行いましょう。乗ってから、着いてからではすでに役務が開始しており交渉は不利です。

ラウンドアバウトで大足の像を発見です。素朴な感じです。そして、中国はこんな大足の片田舎でも、高層ビル、タワマンが立っているのがすごいです。

タクシーに乗って10分、だんだんと山の中に、石刻がありそうな雰囲気になってきました。

しばらくすると広大な駐車場に到着です。

石刻までの長い道のり

中国の世界遺産はホントに広大です。ここ大足石刻も例に漏れず一大観光地化に整備が進められていました。タクシーを降りた駐車場からこの景色です。この先の石造りの門の更に先がチケットセンター、実際の石刻はまだまだ先です。かなり歩くことになるのは認識しておいた方がいいです。

また、周囲にお店などが並んでいれば散歩も楽しめるのですがそれもまだ絶賛工事中でした。訪れた当時からは10年近く立っているのでこの辺も整備されてたでしょうか。

ようやくゲートが近づいてきました。一個一個が大きいのでなかなか近付きません。

石畳の歩道はまだまだ続きます。これら石燈籠、建物は非常に立派ですが、歴史的なバックグラウンドがあるわけではなく、観光地化の整備により作られています。

游客中心 (Tourist Center)

ようなくチケットセンターに到着です。中も綺麗です。価格は宝頂山石刻単体が110元、北山石刻との共通券が120元でしたので両方行く場合は共有券がおすすめです。クレジットカードが使えました。

チケット売り場を超えてもまだまだ安心できません。ひたすら石畳の道が続きます。通りの両サイドにある仏像の絵が描かれた街灯?からはBGMが流れています。トボトボと歩きます。

石刻前ゲート

ようやく石刻エリアのゲートまで到着しました。ここでチケットチェックとセキュリティチェックが行われます。チケットを買い忘れた場合は元のチケット売り場に戻されるのでしょうか・・・考えただけでもおそろしい、、、買い忘れがないよう注意しましょう。

ちなみに写真のタイムスタンプを確認するとタクシーを降りてからここまで25分かかっています。長い道のりでした。

そして、このゲート前左手にある立派な建物はトイレです。おそらく大足のトイレの中ではNo.1でしょう。行っておくことをオススメします。日本のレベルに比べると微妙ですが、バスターミナルのトイレの惨状に比べたら雲泥の差です。当時から8年経っているのでトイレの使われ方も改善していることを期待します。

いよいよ石刻エリア

入場すると、通りの両側が岩肌の壁になっていました。いよいよ石刻が現れてもおかしくない景観になってきました。うっすらと霞がかかっているのが幻想的でもあります。

おおっ、ようやく、竹の後ろに石刻が見えてきました。

柳本尊行化図

まずは柳本尊行化図です。顔の金、ラピスラズリと思われる紺、ウズベキスタンの青(コバルト?)など色が大分残っています。下の怖い表情の彫刻は、苦行の有り様と成仏の過程ということです。

地獄変

上の青色の机に並んでいる人たちは地獄の審判員ということです。

その下にはかなり残虐な姿が描かれています。こうならないように品位を保った生き方をしたいものです。

大方便仏報恩経変

そのあとは中央の釈迦如来を中心に大方便仏報恩経変ということです。うーん、だいぶ穏やかな光景になってきました。それにしてもたしかに立派な彫刻です。シャープさが800年前にできたものとは思えません。

孔雀明王経変相

孔雀の首が多少太めで、その分愛嬌があります。

正面は、なんだったか、、、記録がありません。

釈迦涅槃像

そして、そこから繋がって、、、見どころの1つである釈迦涅槃像です。

全長31m、涅槃像の前には十八弟子が描かれています。更にその手前には側溝?罠がありますので、気を取られて落ちないように注意しましょう。

華厳三聖仏像

まだまだ続きます。

文殊菩薩、毘盧遮那仏、普賢菩薩で、道教を起点としているということですが仏教が入ってきている感じです。袈裟のたわみも自然でパースの崩れもなく素晴らしいです。

ただ、若干前傾しているようにも見え手前を通るのが怖い感じです。手前の文殊菩薩が持っている石塔だけで500kg程度あり、800年以上経っていますが倒れたり落としたりしたことはないということです。信じて通りましょう。

広大宝楼閣&六道輪廻

宝頂山の文字の上は広大宝楼閣で、紫竹林の下で修行している人たちが描かれています。

その奥、6本の放射状のデザインで描かれているのが六道輪廻で、死後の生まれ変わりを表す転輪ということで、地獄、餓鬼、畜生、修羅、人間、天道と考えていたようです。輪自体鬼みたいなのに噛みつかれています。

十大明王&とら?

怖そうな明王が並んでいる最後に、愛嬌のある虎?がニャーとこちらを向いて鳴いています。東照宮の象のように実物を見ていない中で描いたということで、こうした姿になったと言われています。

大分満足しました。北山石刻に向かうことにします。

出口はどこ?

ここに来た道は1km以上あり戻りたくないので、近くにあった別の出口(宝頂老街)を出てみました。こちらのどこかにもタクシー乗り場はあるだろう・・・

かなりマニアックな集落で観光客は一切おらず、むむっ、不穏な空気です。。。

アリョンカちゃん???なぜここに???

こ、これは、、、

正門へトゥクトゥクで・・・

結局奥に行ってもタクシー乗り場的なものはなく、、、現地のおじさんが言葉は通じませんが、おそらく「こっちじゃない」と迷い込んだ観光客を入り口に送ってやろうとトゥクトゥクを出してくれました。もちろん有料でした(30元程度)がまあ仕方ないです。。。

2014年当時は、確か公式なトランスポーテーションはなかったと思いますが、今現在は3元程度(60円)であるようですのでそちらを活用するのが吉です。入口まで戻ってきました。急がば回れです。

まとめ

連続した岩壁に、密教、禅宗、儒教などの各種思想が描かれています。800年前に作られたとは思えないシャープな造形と色が立派ですが、宗教思想史においても重要な意味合いを持つようです。地獄の概念による戒めや、親孝行や修行を推奨するような教えは、(私たちを含め)特に信心深い人でなくても分かりやすく、確かに社会秩序を維持する上で重要な役割を果たしていた可能性もあります。

今現在は、社会的なつながりや直接的な助けがなくても不安なく生きられる時代になりつつあり、全世界的に無宗教派が増えています。以前はなかった特殊詐欺や、残虐な事件などが目につくのも、そうした人の繋がりが薄れ、根本的な道徳の欠如が少なからず影響しているのかもしれません。

ただ、ちょっと広すぎて歩く距離がネックです。サボろうとすると逆に急がば回れになりますので、余計なことは考えずに入り口に戻るのが吉です。

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